a farewell note by radiohots

2019年10月にYahoo!ブログから移行しました。

『十三階は月光』BUCK-TICK~果てしなき世界~

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発売からだいぶ経ちましたが、ようやくレヴュってみたいと思います。

【まず総評】
今回は、ゴシックというコンセプトを掲げ、過去最多の18曲収録の
大作となった。
曲が多いからと言って、間延びする様なことはなく、逆に明確なコンセプト
を押し出している分、トータルバランスは抜群。
BUCK-TICKというバンドは、シングル曲は飽くまでアウトライン的なものであり、
アルバムを「ひとつの作品」として聴いてみないとその全貌が伺い知れない
という特徴を持っているが、
今回の『十三階は月光』が今後その筆頭を担うことは確実と言って良い。
(私のなかでは、今までは『Six/Nine』だった。)

アルバムをひとつの作品と言って置きつつ、各曲の紹介。
評価(◎、○、△、×)とコメントを付記。

1 ENTER CLOWN … ◎
 アルバム導入部に位置するインスト。こののち展開される世界の壮大さを予感
 させる鬼気迫る仕上がり。
2 降臨 … ○
 「午前零時 針は~」に呼応する形で表現される、ヤガミのリムショット
 実に印象的。今井曰く「ギターの歪みは極力排除した」本作の中にあって、
 ヘビーな部位を担っている曲でもある。
3 道化師A … ○
 「降臨」に引き続き、音的にヘビーな楽曲。
 表題だけでもニヤリ、といった感じ。
4 Cabaret … ○
 星野英彦作曲のナンバー。櫻井の女性詩も印象的。
 この曲をもってヘビーゾーンは終幕。
5 異人の夜 … ○
 曲位置としては、次第にゴシック色が高まっていく基点。
 イントロから続く樋口のスラップがぐいぐい引っ張っていく。
 このベースラインがシンセの音色と見事に融合。
6 CLOWN LOVES Senorita … ◎
 M1を更に深化させ、SEなども織り交ぜつつ展開される。決して骨休みではなく
 第二幕の新たな展開を予感させる。
7 Goblin … ○
 メンバー各人の個性が、存分に発揮されている。全体を通してみても、実に
 ノリの良いナンバー。ライブでの盛り上がりが楽しみ。
8 ALIVE … ○
 シンプルロックナンバーと単純に片付けられそうな楽曲を、ゴシックという
 テーマに融合することにより、完成度を高めている。M14に次いで聴き易い
 楽曲と言える。櫻井のソロ活動の成果が現れているナンバーでもある。
9 月蝕 … ○
 イントロから展開されるヤガミのドラムがインパクト絶大。
 世界観に裏打ちされた櫻井の歌詞にも注目。
10 LullabyII … ○
 第三幕前。ピアノ単音メロディが奏でる。前述にもあるが、本作は
 なんといってもインストナンバーのクオリティが頗る高い。
11 DOLL  … ◎
 個人的には本作中のベストナンバー。繰り返し聴いてしまうきらいがある。
 改めて思うが、B-Tの懐の深さが計り知れない。時代を追うごとに新たな
 ジャンル・世界を開拓している。それを再認識させられる楽曲。
12 Passion … ○
 「あなたの隣に居させてください」
 このフレーズが非常に印象的。呼応するように、星野作曲のナンバーは
 ゆったり、激しく、そして儚く展開されていく。
13 13秒 … ◎
 本作のキーポイント。
 この無音世界が何を意味しているのか。
14 ROMANCE -Incubo-  … ○
 先行シングルカットされたナンバー。本作中では新たにリミックスが
 施されている。
15 seraphim … ○
 唯一の今井作詞・作曲両担当のナンバー。「いかにも」というような
 リリックが並ぶ中、櫻井の歌声に乗せ、奇妙な浮遊感の中展開される。
 個人的には、今井自ら唄っていれば◎といったところか。
16 夢魔-The Nightmare … ○
 ドラマティックなデジタル的リズムの中にあって、櫻井の日本的な詩
 (日本語の美しさを大事にした詩)が耳に残るナンバー。
17 DIABOLO -Lucifer- … ◎
 先行シングルのカップリングナンバー。同様にリミックス処理が成されている。
 個人的には、本作のバージョンの方が、楽曲の良さをより一層引き上げている
 感じがする。物語は緩やかに終焉へと向かう。乾杯!
18 WHO'S CLOWN? … ◎
 本作ラストナンバー。M1と双璧を成す。そういった意味でも、決して
 本曲が確実な終焉ではなく、また最初にループし、それが繰り返されていく
 という解釈もできる。

△も付けようかと思ったのだが、あまり見当たらなかった…。
ほめ殺しです。
もう少し聴き込んで、再稿する可能性大であります。