a farewell note by radiohots

2019年10月にYahoo!ブログから移行しました。

『SWEET OBLIVION』/dropz

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奇跡のコラボレーション

この形容は決して間違ってはいない。
日常を鑑みれば交わることのない3人が、秘めたる部分で共有する志をもって集結した。
Kelli Ali、Cube Juice、そして星野英彦。
そこには、迷いも澱みもない、時代を切り開く音世界が展開されている。

限定盤にはオリジナル音源の他に、CJ、Bryan Blackによるリミックス盤も同梱されている。
対比させて聴くとより楽しめるはずだ。
両盤とも一言コメントを付記しておく。

DISC 1

01.The Concept
オープニングを飾るナンバー。
抜群の疾走感は、その後の展開を予感させる。

02.Read my Mind
Kelliの気怠いボーカルと、星野のインパクト充分のギター、
そして全面的に散りばめられたシンセサウンドがマッチしている。

03.Sweet Oblivion
CJの攻撃的なアレンジが光る表題曲。
星野英彦とCJ、という奇跡の化学反応の産物のひとつである。

04.Hamburger Missionary
耳に残るタイトルだ。
アジアンやらエスニックやらという一見雑多な括りをしがちだが、
このユニットに於いては自然と溶け込んでいるから不思議だ。

05.A Snowflake Falling to the Ground
2分47秒と突出して短い曲だが、それを感じさせないアレンジが秀逸。
とりわけ素朴に響き渡るギターアルペジオが印象的。

06.You and Me
前曲から一転してアルバム中最も長い楽曲。
エレクトロニカなスタンスと、ギターのクリーン・アルペジオ
そしてKelliの優しい歌声とが衝突することなく同居していて、独特の雰囲気を
醸し出している。

07.Dream Machine
実にLIVE映えしそうなヘビーナンバー。
シンセの音作りにもギターの音作りにも、良い意味での「エグさ」がある。
それが本曲の「味」となって活きている。

08.To watch me crawl
OHPのトップを飾っていただけあって、その自信がうかがえる1曲。
アルバム全体を考慮すれば、この曲がこの位置に配されていることで極上のバランスが産まれている。
この曲に出逢えたことに感謝したい。

09.I spy
Primal Screamへのオマージュを肌で感じ取ることができるナンバー。
dropz流ロックンロールはLIVEでの演奏を想定している?

10.Lose the Boy
ラストを飾るに相応しい楽曲。
とはいえ、儚さなど微塵もなく、今後の活動も大いに期待できる。

DISC 2

01.The Concept(Dharma Remix)
シンセ主体のリミックス。
原曲の良さを損なわずに、「遊び心」も盛り込んでいる。

02.Read my Mind(black mix)
歌メロの良さを残しつつも、深く誘うBryan Blackのリミックス。

03.Sweet Oblivion(black mix)
連続してBlackによるリミックス。
ここでも彼独特の音世界が生きているが、
大サビのメロディは違和感なく溶け込んでいる。

04.Hamburger Missionary(Naichiz Remix)
一聴すると、CJの最新アルバムに入っていても違和感はない。
音色の使い方、選び方、そして跳ねるようなビート、どれを取っても秀逸。

05.A Snowflake Falling to the Ground(Black Savannah Remix)
原曲にはない疾走感が、聴くものを昂揚させる。
少しレトロな展開は果たして意図的なものか?

06.You and Me(Beef's Teen Tooth Remix)
こちらも原曲よりもアッパーな展開となっている。
シンセが主体ながらも、バンドサウンドとしても成立している。

07.Dream Machine(black mix)
原曲に存在した「エグさ」は若干影を潜めたが、
決してキレイになっているわけでもない。
そんなBlackのアレンジがハマっている。

08.To watch me crawl(Transporter Remix)
原曲の壮大さよりも、ポップ性を優先させて出来たと思われるリミックス。
しかしながら、Bメロあたりのコード進行は斬新である。

09.I spy(Terra Incognita Remix)
華麗なダンスチューンへと変貌を遂げたリミックス。
Madonnaあたりが好きならオススメかな?

10.Lose the Boy(Antidepressant Remix)
恐らく原曲から最も逸脱したリミックス。
まったく違うコード進行を取っているにも関わらず、まったく自然。
原曲と聴き比べればその差は歴然。
こちらのほうが終曲としての「儚さ」を持っている。

01、04、05、06、08、09、10 remixed by CUBE JUICE
02、03、07 remixed by Bryan Black