a farewell note by radiohots

2019年10月にYahoo!ブログから移行しました。

『NIWLUN』/Guniw Tools

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昨年12月はBUCK-TICK日本武道館公演に向けて入念なる予習を試みていたが、
密かにヘビーローテーションとなっていたのが、この『NIWLUN』である。

Guniw Tools(グニュウ・ツール)は北海道出身の3人、
古川とも(ボーカル)、あさき(ギター)、そしてジェイク(ギター、プログラミング)
によるトリオユニットである。
のちにジェイクが脱退し、古川、あさきの2人体制になって以降は、グランジ、パンク色を強めて行くことになるが、デビュー作であり、最高傑作とも言われる『NIWLUN(ニュウルン)』はジェイク色の強い作品となっている。

作り手サイドの観点で聴くと、とにかく打ち込みオケの完成度の高さに驚かされる。
その世界観までもを包含した完璧なまでに作り込まれた音、自然と引き込まれて行くのを感じる。
楽曲自体のクオリティも高く、特に「Either Wise or Fool」においては実に30コード(!)を使用している。
(→ジェイク本人談)
とかくこういうアプローチは構成自体も複雑になるリスクも孕んでいるが、見事にまとめ上げているため、すーっと耳に残る、自然な仕上がりとなっている。

古川の難解な詩世界、楽曲を通して感じ取ることのできる幻想性。
当初の彼らのコンセプトには変わりないが、そこばかりがクローズアップされてしまったきらいがある。
また、関連する人脈なども相俟って、結果的に「ヴィジュアル系」という括りにされてしまったのが
残念無念としか言いようがない。(この点に関してはジェイク本人も自嘲気味に述懐している)
楽曲のメロディアスな展開にばかり目が行きがちだが、ギターソロなどを注意深く(そうでなくても)
聴いてみれば、実にテクニカルなフレーズを弾き倒しているジェイクがいることも見逃せない。
いや、決して見逃してはいけない。



平日を忙しなく生きるサラリーマンにとっての土曜日は至福のひととき。
その午前中にこのアルバムを流すと自然と溶け込む。
個人差はあるかと思いますが、私としては「土曜日の午前」に聴くことをオススメします。


『NIWLUN』/Guniw Tools
01. 頭上の石
02. It's usual
03. 未練は思い上がり
04. 真心求める自己愛者
05. モラリストの事
06. 腐肉にとっての愛
07. Either Wise or Fool
08. か細さを武器に
09. 傘さす事の歓び
10. 優しさは確かな支配者
11. スタイリッシュパンピーの青年期
12. Fade story