a farewell note by radiohots

2019年10月にYahoo!ブログから移行しました。

CJ考察(その壱)

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写真左から、
『In The Eye Of A Wili-Wili』
『III』
『VAGUE ANSWERS』
すべてCUBE JUICE


敵を知るにはまず味方から・・・。
という表現はここでは相応しくはないが。。。

BUCK-TICK:星野英彦率いる「dropz」のアルバム『SWEET OBLIVIONリリースまで
あと1週間を切った。
そのdropzのメンバーの中に、CUBE JUICEという男がいる。
彼はこのdropzにおいて、主にプログラミングを担当して、トラックメーカーとしての
役割を十二分に果たしている。

今回は、そのCUBE JUICE(以下、CJ)のこれまでの音源を紐解いてみたいと思う。
1曲ずつコメント付きにて(大いに主観あり)
本記事が、CJの音源への興味/関心に繋がること、あるいは、
dropzにおいてどういった役割を果たしているのかのガイドとなれば幸いである。

『In The Eye Of A Wili-Wili』

2003年4月発表のメジャー1stアルバム。
インディーズ盤で顕著だった、The Beatlesを基礎とした抜群のポップセンスを引き継ぎつつも、
ギター主体のサウンド・アプローチは徐々に影を潜め、今後の展開を大胆に予感させる仕上がり。
日本音楽シーンに鉄槌を打ち込んだ快作。

01.Funk China Doll

本作の序曲を飾るインストナンバー。タイトルはジョンゾーンの某曲からの引用とのこと。
タイトル通りファンクなノリを保ちつつ、アプローチはエレクトロニカ系へと向いているため、
不思議な感覚に陥ることうけあい。

02.凹凸

メジャーデビュー以降においては、CJ唯一の漢字表記の楽曲。「オウトツ」と読む。
前曲から引き継ぐ形で始まる本曲だが、うって変わってのポップナンバー。
極めてローファイな音作りがより一層楽曲を際立たせている。

03.Flashboy

四つ打ちのダンサブルナンバー。ギター畑の人がこういったアプローチをする(出来る)ことに
驚愕する。CJをより一層知りたいと思った1曲。

04.Half

ゴルフボールのバウンド音を思わせるSEから始まる。
ここにきて生ベース(エレキ)の単調なルート弾きが効いている。
この曲がこの配置、というのは極めて重要なこと。

05.Mars Of Chicken

導入部から「奇妙な壮大さ」を予感させる。
Aメロは不思議な感覚に陥る。それでも4拍子。

06.Viewless

5曲目から継続されて流れるナンバー。当初は25分くらいあったという緩やかな曲。
それでも10分近くはある。第1の折り返し点といったところか。

07.So Young

現在のライヴでもバージョンを変えて頻繁に演奏される楽曲。
本盤では「ドラムに唄わせる」というアプローチ。

08.Route 17 turbo

埼玉県出身のCJならではのタイトルが光る!
ここでもアプローチはループ系グルーヴ。

09.A War Entitled"Subtlety"

ここではエレギギターをかき鳴らすCJが垣間見える。
リズムはエレドラではあるが、アプローチがシューゲイザー系を思わせる音の洪水。
それでもポップ。最後にはアコギの弾き語りも聴ける。

10.The Memorizer

9曲目から継続されて始まる。激しさ、切なさ、物悲しさが同居する。
ここでもエレベが効いてる。終盤の構成は見事としか言いようが無い。

11.Weekend




13.Flying Fish(Either Another Remix)remixed by CUBE JUICE 

1分間の休憩を挟んでここからはボーナストラックとなる。元々シングルリリースの予定だったが、
他者のミックスを直前で拒み、アルバムに配すにあたってCJ自らがミックスをし直したいう
曰く付きのナンバー。結果的に日の目を見ることとなったが、この形で良かったのでは?
そう信じたい。


14.Head Long(火微remix)remixed by numb

シングル「Head Long」のリミックスに白羽の矢が立ったのは、エレクトロニカの風雲児:numb。
彼の手に掛かれば、どんなポップナンバーも、心拍数を早める超絶グルーヴに包まれることは必至。
このリミックスで改めてそれを痛感した。

15.Explosion(dub dog SPA mix) remixed by Kikou Uehara

もうひとつのシングル「Explosion」、上原キコウなる人物によるミックス。numb同様、彼もなかなか
キレモノだ。所謂エンジニアであるが、そこから若干はみ出した感じのアプローチが際立つ。


『III』

2003年11月発表の2ndアルバム。
前作から非常に短いスパンで放たれた本作は、新曲もさることながら、豪華リミキサー陣が脇を固める
実に贅沢な構成。エレクトロな音作りはより進化(深化)し、唯我独尊のCJワールドを繰り広げている。

01.Sea Wonder

タイトル通り、海岸の音から始まる。緩やかだが刻々と変化する構成は聴いているものの耳を離さない。
留まるところを知らない音の嵐。制作時にデータが7ギガに達した、というのも頷ける。(ホントか?)

02.Butter Fly

カセットMTRで制作したとされる1曲。
DAW全盛の今のご時世にあって、古き良きMTRの魅力を存分に引き出している。
一度録った音を逆回転させて、その上から更に音を重ねるといったアプローチもカセットMTRならでは。
宅録家に勇気と希望を与えてくれる、そんな1曲。

03.Nothing's Gonna Change My World

インディーズにて発表された「Anything's gonna change my world」に対するアンサーソング
ほとんどその曲からのサンプリングで埋められている。が、まったく違った仕上がりとなっている。
再構築する際の音感覚の高さに脱帽。

04.III

表題曲。CJにとって「3」という数字は特別な思い入れがあるらしい。
それも絡んでか、この曲も「3つの異なるリズム」が混在して息づいている。
その中でも独自のメロディセンスは抜群に際立っている。

05.Half Remixed By Plaid In The Plaid Bubble

Bjorkのサポートメンバーとしても名高いPlaidによるリミックス。1stに収録されているが、
原曲からのネタの拾い方が絶品。普通そこは使わないだろう、というところをことごとく
セレクトするあたり、職人技である。

06.Grateful Bed


07.How Do You Feel?

極東お気に入りのナンバー。最低限のコード進行であるにもかかわらず、これほどまでに
劇的に構成を変化できるのか!?と思わず感心してしまった1曲。
やはり感性が良いのだろう。羨ましい。。。

08.Something Else Again

コップにストローを立てて泡を立てる音。それを取り込んで独特の世界を描く。
取り留めも無く続くループは、時に心地よさを生む。

09.Flashboy [Llamarada Rmx] Remixed By Kj [Fellows,Inc.]

Kj(Dragon Ash)によるリミックス。CJ自身最も興味のあったリミックスとのこと。
原曲のダンサブルな展開は影を潜めたが、Kj独特のムードのある仕上がり、といったところか。

10.Endless Summer

ロボット声の淡々としたボーカルが印象的なナンバー。
本人によるものであれば「Digitech Talker」、そうでなければ「CANTOR」と踏んだがどうか?
定かではないが、こういった突飛な展開はアルバムに華を添える。

11.Mars Of Chicken [La Declosion Mix By Stereolab] Remixed By Stereolab

Stereolabのリミックス。原曲を崩しつつも、CJのルーツであるThe Beatlesのフレーバーを添えた
アプローチが好感触。リミックスする人の思考回路を見てみたい。

12.Everywhere

アコギの弾き語りから始まるが、後半からはエレクトロループ炸裂。ゲームボーイのシーケンスソフト
nanoloop」を取り入れたナンバー。ほんの僅かでも「遊び心」がないと作れないであろう曲。

13.Orange Morning

1st収録の「Flying Fish」と姉妹曲とされる(歌詞から判別可能)。それによると、こちらのほうが
「Flying Fish」の直前の世界観を唄ってるらしい。でもリリースはこっちのが後。複雑怪奇。。。

14.My Shadow

終曲を飾るナンバー。時折覗かせる儚さは、「影(Shadow)」を引きずりつつも、
光は間違いなく次作へ向かっている。

(続く・・・)