a farewell note by radiohots

2019年10月にYahoo!ブログから移行しました。

CJ考察(その弐)

『VAGUE ANSWERS』

2007年1月発表の3rdアルバム。
約3年という強烈に長いスパンで放たれた。
しかしその3年で、CJは他アーティストの楽曲のリミックス・映像作品への楽曲提供など
新たな試みを実践していた。
その結果がこの作品に大いに反映されている。
ボーカル曲の多くはヴォコーダーを使い加工されている。CJ流エレクトロの集大成とも言える作品。

01. Sweat

CJ初のディスコチューン。ひとつひとつの音を実に丹念に仕上げている。
「ただの」ディスコチューンにしていないところは流石。

02. Bunka

CJ曰く「進化するエレクトロミュージックに対するアンチテーゼ」、しかしそれは今の彼自身か?
縦乗りダンスナンバーの中に多少の切なさを感じるのはそのせいか?

03. Golden Age

イントロから続くギターカッティングが印象的な曲。アップルストアイベントで、本曲の制作過程を
拝見することができ、以来参考にしている。聴けば聴くほど深い。するめソング。

04. She's A Beauty

CJ流ラヴソング(?)。聴いているものを心地よくさせる音色のセレクトはお見事です。


イントロのシンセリフにやられた。構成的に単調になりがちながら、先の展開がなかなか読みづらい。
などと思っているうちにエンディングを迎えてしまう。ひとつの冒険を終えた気分。

06. Moonlight

驚愕のポリリズム炸裂。いったいどうすればこういう発想に行き着くのか?
ホントに感心させられる、そんな曲。インスト。

07. I Realized

スラップベースが要所に効いてるナンバー。
総じて幻想的な音世界を造り上げている。

08. Anniversary

前曲から打って変わって極上のバラード。
「多ければ多いほど幸せ」というアニバーサリーへの願望が伝わってくる。

09. Biwak

バンドサウンドとしても充分成立しうるナンバー。中盤の転調が肝(CJ曰く)。
そして中盤に不意に入ってくるギターカッティングは、聴いたらたぶん一生忘れない。

10. Updown

「虫とバンドを組みたい」
そんなCJの願望が形となって表れた楽曲。この曲も実にバンド的。
ライヴでやってくれたら最高だ。(オレが)

11. Taxifahrer

ジャーマンテクノ系ナンバー。古くからライヴでも演奏されていた。
タイトルはドイツ語で「タクシードライバー」の意。曲中に入る道を走る自動車の音も相俟ってか、
疾走感を駆り立てられる。

12. Right Hand

インダストリアルなインスト。2分弱であるが、当初は長尺にしようとしていたらしい。
ラストの(奇跡の)ギターアルペジオが本曲を見事に完結させた。

13. Weevil

Weevilは「ゾウムシ」
その手のSEもアリアリで、本盤のなかでは比較的ポップな仕上がりとなっている。

14. Little Tokyo

素晴らしい自然の息づく土地(例えば沖縄など)の都市かを憂うナンバー。
「キャベツを切る音」をリズムにしている。ユニークではあるが、この曲の切なさ/儚さに入っては
素朴さを願う提言のようにも感じる。

15. Conclusion

結末。
いくら答えが曖昧なままでも、決断を迫られるときが来る。
本当に儚い。いい曲。でもここで終わり。
終わらせたくない。けど終わりなんだ。




加速化するエレクトロ思考にあっても、飽くまでも「シンガーソングライター」というものに
こだわっているスタンスが、CJ最大の特徴だ。
dropzでも重要な位置付けにあるのは間違いない。