a farewell note by radiohots

2019年10月にYahoo!ブログから移行しました。

『ON』/BOOM BOOM SATELLITES

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CDショップに行くと洋楽コーナーに置いてあったりするなど、
邦楽アーティストとしては極めて異質な存在として君臨している。

各所から「最高傑作」という評判を耳にするが
果たして本当だろうか?
自分なりに分析してご機嫌を伺おうかと思う。

ジャンルの豊富さ

『PHOTON』で見せたジャズテイスト溢れるサウンド(むしろジャズロックか)
『Full Of Elevating Pleasures』でのロックとゴスペルとの融合。
そして今回の『ON』は前作の延長線上に位置するものの、
パンク、或いはニューウェーブなどからの影響が色濃く出ている。
これほどまでに劇的に音楽性を変化させながらも
ブンブンサテライツサウンドになっている要因は何か?
・初期から一貫してセルフ・プロデュースであるということ
・デビュー時からの不動のサポートドラマー:平井直樹が中心となり構築する
 骨太のリズム体
などなど挙げれば枚挙に暇が無い。
後述するが、これほど大幅なジャンルのシフトチェンジをいとも簡単にこなせてしまうあたり、
(それも根底は揺るがずに、だ)
彼らのポテンシャルの高さをうかがえる。


「歌モノ」への転換、その必然性

本作は所謂「歌モノ」アルバムである。
ともすればヒットチャートに食い込んできそうな程、
キャッチーなメロディ群で構成されている。
果たしてこのような流れは必然的なものなのだろうか?
とあるインタビューの一節を見ていただきたい。

変わっていないところは、セルフ・プロデュースであること。
変わったところは、エンターテイナーになっていること。

そう、近年頻繁に出演しているロックフェスやライヴにおいて、
オーディエンスとの一体感を追求した結果、
彼らは比類無きエンターテイナーへと変貌していったのだ。
そういった流れの中での今回の「歌モノ」のドロップ。
まさに必然的なものではないだろうか?


揺るぎないサウンドメイク

とは言え、各曲どこをどう切っても所謂ブンブンサウンドになっているから驚きだ。
前作からその片鱗はうかがえたが、川島の歌唱力が飛躍的に向上していることもその一因であると言える。
(「歌モノ」であることから、それをより痛感することができる)
他には以下のようなものが挙げられる・・・。
・全編通して展開されるゴリゴリのベースサウンド。
・「Beat It」における、ベース音を5本重ねるという荒技(?)。
・後録りというのが信じ難いほどタイトでリズミカルな平井のドラム。

まとめ

ブンブンサウンドは健在のままで、幅広いリスナーを受け入れる体制を構築できた本作。
そういった意味では「最高傑作」という形容を用いても差し支えないのではないだろうか?
長く音楽界に君臨するためにはそれなりの変化が必要。
そういった変化を自身が受け入れた上で実践している。
そして成長している。
ブンブンサテライツを知る上で、本作から聴き始める、
という選択肢は決して間違っていないと思う。
オススメである。


『ON』/BOOM BOOM SATELLITES
01.KICK IT OUT
02.9 DOORS EMPIRE
03.GIRL
04.id
05.PLAY
06.SHE'S SO HIGH
07.PILL
08.GENERATOR
09.BEAT IT
10.PORCUPINE
11.NOTHING
12.LOADED




brinsdaleさん、ご満足いただけましたでしょうか?(笑)