a farewell note by radiohots

2019年10月にYahoo!ブログから移行しました。

『THE ERASER』/Thom Yorke

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トム・ヨークという男にはいつも驚かされる。
本音源を聴いた時にまず真っ先に浮かんだ感想である。

既に世界的な地位を築いたとも言えるRadioheadのフロントマンにして、
バンドのコンポーズ面でも実権を握っていたトムの
初となるソロアルバムが『The Eraser』である。

基本的な根幹を見ていけば、
『KID A』いやさ『AMNESIAC』からの延長線上に位置する浮遊感。
(註:『Hail to the Thief』はCCCDなので論外)
バンド側である意味では到達された世界観をトム・ヨーク個人として
さらに進化(深化)させた仕上がり。

近年また再考されているローファイな音作りが、
逆に「今」のリスナーにはただただ新鮮に聴こえるはずだ。
しかし音を限りなくローファイに仕上げている中で
全編ボーカルを務めるトムの声はどこまでもクリアなのだ。
ともすればミスマッチな印象だが、
このようなミックスが功を奏して、かつて体験したことのない
浮遊感溢れる世界を繰り広げることに成功している。

ソロ活動を経た後というのは、バンド活動において
良くも悪くも影響を与えるはずだ。
次のRadioheadの音源も楽しみといえばそうだが、
むしろ私はトム・ヨークというひとりの男に新たな魅力を感じてしまった。
そう考えるとRadioheadを知らないリスナーにも
オススメできる一枚、と言えるだろう。

『THE ERASER』/Thom Yorke
1. The Eraser
2. Analyse
3. The Clock
4. Black Swan
5. Skip Divided
6. Atoms For Peace
7. And It Rained All Night
8. Harrowdown Hill
9. Cymbal Rush