『編む女』／濱田マリ

濱田マリを語るとき、
モダンチョキチョキズの「あ、た、ま、がジャングルグルグル・・・」
のフレーズを思い出す人が多いだろう。
また、それは幸か不幸か彼女の歌手としてのイメージとして定着することとなる。

そんなイメージを根底から覆すことになるのが、
『編む女』である。
本作は、彼女本来の、歌手：濱田マリを徹底的に追求した作品であると共に
高い評価をされるべき作品である。

以前の作品でも、味のある楽曲を歌い上げ、
「え？これが濱田マリ？」
と思わせるものはあった。
逆に「あしたま」でのナレーションをそのまま持ち込んだような
（良い意味で）明朗な楽曲も散見された。
しかし本作ではそういった小細工は一切無く、
飽くまで、本格派の歌手としてのイメージを植え付けるがごとくの作品に
仕上がっている。

セルフプロデュースということが要因のひとつではあるが、
サウンド面でのイニシアティブを握っているのは、
彼女の夫：藤井麻輝

善と悪、静と動、構築と破壊を巧みに織り交ぜる彼のサウンドワーク。
本作では、そんな相反する二要素が混在しながらも
見事なまでに融合している印象を受ける。
（濱田の声を「善」とするならば、藤井の音は「悪」）

音に破壊的要素が加わっていても、濱田の声によって
良い方向に緩和されている。
全編通して不思議な感覚に捉われる作品である。

歌手：濱田マリを知りたければ、本作をオススメする・・・。

『編む女』／濱田マリ
1 Baby Blue
2 氣愛
3 アイレ可愛や
4 馬とおじさん
5 Lucky Charm
6 214
7 It’s My Love（r）
8 涼しい私